初めましてこんにちは、どん底三十路女です

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*  実家暮らしの私が帰宅すると、谷川家はやけに賑やかだった。 もしかして、お誕生日を祝ってくれるの? よおし、ヤケ酒だ! 勢い込んでリビングに飛びこむと。 「あれ、お兄ちゃん、帰ってたんだ」 2年前に自分探しの旅に出た兄、海斗(かいと)が、ソファーでふんぞり返っていた。 隣には、ギャルっぽい女の子。 「あ、七海さんすか? こんばんちわ」 ギャルが笑顔で立ち上がった。 「え……ええと」 戸惑う私に、ギャルは言う。 「あたし、早紀っていいます。海斗の嫁っす」 「は?」 「びっくりしました? あと、お腹の中に娘もいるんで、よろしくっす」 む、娘? 「ごめん、ええと……早紀ちゃん? 頭がついていかない」 倒れそうになった私を見て、母が笑った。 「七海ったら、相変わらず順応性がないんだから」 父がご丁寧に説明してくれる。 「つまりだな、自分探しに出たはずの放蕩息子が、嫁と娘を連れて帰って来たってことだ」 ワッハッハと豪快に笑う父は、蕩けそうな顔をしている。 さらには、早紀ちゃんの腹に向かって。 「べろべろばあ~、おじいちゃんでちゅよお」 とかやって、早紀ちゃんに「気が早いっす」と、たしなめられる始末だ。
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