スケボーをする父

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 学習塾に行かなくなって四か月が経った。丸山唯奈(まるやまゆいな)は中学二年生だ。来年は受験生である。同級生たちはみんな学習塾に通っていたり家庭教師をつけている。だが唯奈はありとあらゆる口実をつけて塾を休み、今では行かないことが当たり前になった。  塾に行かないのは特に理由がない。敢えていうなら勉強することの意味が分からなくなったからだ。だから学校へ行っても授業はまともに聞かない。学校に行くのは友達と会うためだ。部活も辞めた。  今は十一月、唯奈の成績はがくんと落ちた。母は心配して他の塾を勧めたが、唯奈は行きたくないの一点張りでとうとう食事や風呂以外は部屋から出てこなくなった。以前の土曜日や日曜日はショッピングモールなどに出かけたがそれも頑なに断る。  父は会社の中間管理職で忙しい。残業も当たり前だし、毎日のように接待や上司や部下と飲んで帰る。本人曰く仕事の話をしているのだというが家庭に時間が割けないのは問題だ。土曜日は休日出勤をして日曜日は接待ゴルフだ。だから唯奈の変化に気が付かないでいた。
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