スケボーをする父

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 唯奈は小学校五年生のときスケボーを買ってもらい。毎日のように市の体育館の外にあるコンクリートの広場でスケボーの練習をした。練習の成果もあって小学六年生でスケボーの大会で優勝した。母は喜んでお祝いにステーキを食べさせてくれたが父の記憶に残っているかどうか。 「唯奈が塾に行くのと俺がスケボーするのとなにか関係があるのかな?」 「お父さんの理論。やっているうちに楽しくなるから」  治夫は言葉を失った。でも家の前は車の通りも少ないし、仕事から帰ってきて一時間くらいなら毎日練習ができるだろう。治夫は頷いた。 「分かった。日曜日にスケボーを買いに行ってくる。唯奈も勉強してみろ。一日に二時間でいい」  唯奈は勉強なんかするつもりはないのに頷いた。部屋に閉じこもっていれば父も母も勉強していると思うだろう。 「塾は行かなくていいんだね」 「ああ、家庭教師はどうだ? お父さん、探してみるよ」  唯奈は乗り気ではないが父だってスケボーを続けられるか分からない。父がスケボーをしなくなったら家庭教師だって断れる。唯奈は承諾した。  治夫は家庭教師を紹介してくれる会社を見つけW大を卒業した二十三歳の青年に唯奈の勉強を見てくれるように頼んだ。青年は快諾して月曜日と水曜日、金曜日に来てもらう約束をした。時間は五時から七時まで。治夫はこれで唯奈の成績があがってくれればいいのにと思った。
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