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家庭教師は水戸大悟という人で背が高く優しそうな目をした人だった。中学生や高校生の家庭教師の他にパソコン教室で講師もしているという。唯奈の勉強机でやると水戸が二時間立ちっぱなしになるので床に置いてあるガラステーブルを使うことになった。唯奈は分からないことは素直に訊いたし暗記する宿題はきちんと覚えた。水戸に好かれたいと思った。
七時になって水戸がリュックを背負って帰ろうとしたとき母が呼び止めた。まだ来始めて一週間という金曜日の夜だった。
「今日はビーフシチューを作ったの。よかったら食べていって」
「え、僕がご馳走になっちゃっていいんですか?」
「もちろん。ビールは飲める?」
「少しなら」
ビーフシチューも嬉しいが唯奈は水戸と夕飯が食べられることが嬉しい。父は金曜日だから飲んで帰って来るだろうし水戸が居れば食卓が賑やかになる。
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