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「凄〜い綺麗に片付いてる〜、お兄ちゃん凄いね〜」
俺がわざとらしく娘に話を振ってみたり余計に明るくしているのには訳がある。
「でしょ?だか」
「次に飼いたい猫が来るまでちゃんとしてたら今度は飼えるようになるかな〜」
「え?ちが」
「おっ!ブロックもちゃんと箱に入ってるな妹のおもちゃも片付けたの?偉いね〜はい、お兄ちゃんにありがとうして〜」
息子の話しを遮るように、ドンドン被せるように、誤魔化すように、勘違いしているように…。
分かってる、違うのは分かってる、次じゃなくて、あの猫が良いのは分かってる、だけど駄目だ、俺はキミがもう少し大人になるまでこうやって勘違い親父を続けるだろう。
「じゃあお利口さんだからちゃんとお風呂も入れるよね〜?」
猫を飼うのを諦めろと言ってるわけじゃない…。
「…うん」
頑張ってもどうしようもない事がこの先たくさん待ってる、たくさん我慢しなけりゃいけないことも待ってる。
息子がこの一時間、精一杯考えてた事も分かってる上で「我慢しなさい」というのは俺自身がそんなにたいした大人じゃないのにどの口が言ってんだ?と自分で思ってたりもする。
親のエゴかもしれないという事も分かってる。
風呂場に向かう息子の背中を見ながら、凄い勢いで大人になっていくんだなぁ、もう少しゆっくりでも良いよ?
なんて思ったりした。
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