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1 夢見堂
「おめでとうございます! ようこそ夢見堂へ」
拓人は、その声がどこから聞こえてきたのかわからず、辺りをきょろきょろ見回した。
そこは、石の壁に囲まれた、中世の教会の礼拝堂みたいな建物の中だった。
拓人は、吹き抜けのホールのような部屋の真ん中にいた。
周囲の壁には、高い天井まで届く巨大な棚がずらりと立ち並び、そこに週刊誌大の薄くて白い箱が、びっしりと並べられていた。
人影は見えない。
「あなたには、夢見堂が提供する夢を毎度ご利用いただいておりましたが、本日、あなたもついに『夢見マスター』の資格を取得されました!」
ようやく、声が頭の真上から聞こえてくることがわかり、拓人は顔を向けた。
そこには、男がフワフワ浮かんでいた。
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