2 有償の夢

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2 有償の夢

 それを聞いて、男はニコッと笑った。 「やっと、お返事をしてくださいましたね。よろしい、説明を続けましょう。有償といっても、お金をいただくわけではありません。お持ち帰りになるごとに、『想像力』を代償としていただいているのです」 「想像力? そんなものをどうやって……」 「夢見堂では、新しい夢の在庫を常に補充しなくてはなりません。その夢を生み出すときの材料となり、エネルギーとなるのが、想像力なのです。それは、人間の目には見えませんが、立派に取り出して蓄えることのできる資源なのです」 「そんなものですか……えっ、じゃあ、僕も想像力を吸い取られていたってこと?」 「そんな強引に奪い取られたみたいにおっしゃらないでください。確かに、拓人さんにはたくさん有償利用をしていただいて、常連のお客様として大いに貢献していただきました。そうです。今回、あなたが夢見マスターになれたのは、有償利用が1万回を超えたからです」
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