1人が本棚に入れています
本棚に追加
2 有償の夢
それを聞いて、男はニコッと笑った。
「やっと、お返事をしてくださいましたね。よろしい、説明を続けましょう。有償といっても、お金をいただくわけではありません。お持ち帰りになるごとに、『想像力』を代償としていただいているのです」
「想像力? そんなものをどうやって……」
「夢見堂では、新しい夢の在庫を常に補充しなくてはなりません。その夢を生み出すときの材料となり、エネルギーとなるのが、想像力なのです。それは、人間の目には見えませんが、立派に取り出して蓄えることのできる資源なのです」
「そんなものですか……えっ、じゃあ、僕も想像力を吸い取られていたってこと?」
「そんな強引に奪い取られたみたいにおっしゃらないでください。確かに、拓人さんにはたくさん有償利用をしていただいて、常連のお客様として大いに貢献していただきました。そうです。今回、あなたが夢見マスターになれたのは、有償利用が1万回を超えたからです」
最初のコメントを投稿しよう!