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「恭臣くん、おかえり」
「わ、ビックリした。お出迎えなんて珍しいですね」
「今から帰るって連絡あったから。……それに1人でいたからちょっと寂しくて」
思わず抱き着いてしまった。ほんの1、2時間会えなかっただけで寂しいなんて、1人じゃ留守番もできない子どもみたいって、またからかわれるかも。
「……抱き着くなら先に言ってくださいよ。俺、両手塞がってるのに」
呆れたように笑いながら、恭臣くんが俺の耳元で囁いた。
「……ごめん」
腕を離すと恭臣くんが持っていた買い物袋を床に置いた。そして改めて抱き締めてくれた。
「ちゃんと言ってなかったですね。ただいま」
「うん、おかえり。恭臣くん身体冷えてる。外寒かったよね。ごめんね、早く部屋入ろ」
「平気ですよ。今心も身体も暖めてもらいましたから」
床の買い物袋を1つずつ持って部屋の中へ。袋の中のものを冷蔵庫にしまいながら恭臣くんにお願いをしてみる。
「ねぇ、今日の晩ご飯さ、もし作るのが難しいものじゃなかったら俺にも手伝わせて」
「そんなに凝った料理じゃないので大丈夫だと思いますけど、急にどうしたんですか?」
「なんか今日俺何もしてないし、っていうか今日だけじゃなくて引っ越してからいろんなこと恭臣くんに任せっきりだったからなんか俺にもできることないかなーって。本当は今日は俺が作るよって言いたいんだけどそれだと罰ゲームみたいになっちゃいそうだし」
「涼平さんの手料理初めて。すげえ楽しみ」
予想以上に嬉しそうに笑ってる。楽しみにしてくれてるのはすごく嬉しいけど、そんなに期待されると後でガッカリさせそうでちょっと不安。
「ちょっと手伝うぐらいしかできないと思うから手料理って呼べるかわかんないけどね」
「でもそんな気にしなくていいですよ。毎日本当に幸せだし涼平さんからはいろんなものいっぱいもらってますから」
「そんなに甘やかされたら本当にダメ人間になりそう……」
「じゃあ今まで以上に甘やかしますね。俺なしじゃ生きていけなくなるくらい」
……もう既になってるよ。照れくさくて口には出せなかったけど。
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