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「別に涼平さんのこと責めるつもりとか怒ってるわけじゃないので、それだけはわかって欲しいんですけど、俺今日すっごい楽しみにしてたんです。付き合って初めての誕生日だし……好きな人に誕生日を祝ってもらうこと自体初めてなので。期待してた分、ショックも大きくて」
そうか。恭臣くんにとって今日はただの誕生日じゃなくて、特別な誕生日になるはずだったんだ。それを俺が台無しにした。
「……ごめん」
「だから責めるつもりないって言ってるじゃないですか。昨日予定訊いた時、デートとかしないんだって少し寂しかったんですけど、もしかしてサプライズで何かしてくれるのかもって勝手に考えて。だから準備とかの邪魔にならないように、その間に実家行ってきたんです。プレゼント用意してるって言うので」
また「ごめん」を言いかけて止める。謝って済むことじゃないのかもしれないけど、謝ることすらできない。本当に取り返しのつかないことをしてしまった。
「……俺の料理褒めてくれたり、お出迎えしてくれたり、それに初めて涼平さんの手料理食べさせてもらったのも、今日も嬉しいこといっぱいあったのに、たかが誕生日忘れられてたくらいでそういうの全部吹っ飛んじゃう自分が情けなくて」
恭臣くんが大きく溜め息をついた。どうしたら許してもらえるだろう。それとも許してもらう、なんて無理なのかな。
「でも考えてもみたら涼平さんにとってはなんでもない日だと思ってたのに色々してくれてたわけじゃないですか。そっちの方がありがたいことだって頭ではわかってるのに、どうしても気持ちが追い付かないっていうか……。もうやめましょうか、この話」
今回こそ、もうダメかもしれない。でも自業自得だよな。本当学ばないな、俺。
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