なんでもない特別な1日を2人で

9/9
前へ
/212ページ
次へ
「フォーク貸して。涼平さんも、あーん」 「いや、俺は……! 恭臣くんのために買ったケーキだし……」 「お願い聞いてくれないんですか? 俺誕生日なのに?」 「……それずるい……」  そんな顔されたら拒むなんて無理。諦めて口を開けると楽しそうに笑いながら恭臣くんがケーキを食べさせてくれた。 「どうですか?」 「確かにすっごい甘いね……」  ケーキ本来の甘さにこの雰囲気も相まって普段の何倍も甘く感じた。コンビニのケーキをこんなに美味しいと思ったの、初めてかも。 「ごちそうさまでした。美味しかったです」  完璧とは程遠いけど、とりあえず無事に誕生日を祝うことができたみたいだ。 「さて、寝る前に高カロリーなもの食べちゃいましたし、少し身体動かしてから寝ましょうか」 「……へっ?」 「湯冷めしちゃったしもう1回風呂入ろ。涼平さんも一緒に行きましょう」 「わっ、ちょっ……」  俺の腕を引きながら風呂へ向かう。俺に拒否権はないらしい。……けど恭臣くんが機嫌直してくれたならそれでいいことにしよう。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1102人が本棚に入れています
本棚に追加