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secret night
頭痛と吐き気に襲われながら涼平は目を開いた。
薄暗い室内、ふかふかのベッド、見覚えのない天井、嗅ぎ慣れない匂い。ここがどこなのかはわからなくとも、起きてはならないことが起きてしまったのだ、と理解するのにそう時間はかからなかった。
(……ここってホテル……? なんで……)
部屋を見渡すと、涼平が寝ていたベッドの横には少し間を空けてもう一台ベッドが置かれている。綺麗にシーツが整えられたままのそのベッドは誰にも使われた形跡はない。
何度確認しても、しんと静まり返った部屋の中には他に誰の気配もなかった。
(俺1人……? じゃあなんでツイン……)
その日は友人の結婚祝いのパーティーが開かれていた。
そこで何が起きたのか、必死に記憶を呼び覚まそうとするもぼんやりとしか思い出せない。
この状況を否定するための材料を探す涼平の耳に届いた鍵が開く音。
ドアを開け部屋に入る人物の顔を見て、涼平の背筋が凍りついた。
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