1102人が本棚に入れています
本棚に追加
「涼平くん、久しぶり。元気だった?」
「速水さん⁉︎ うわー、久しぶり! 卒業以来だよね?」
「うん、私就職していきなり遠い営業所に配属されちゃって、同窓会とかもずっと出られてなくて。最近ようやく地元に戻って来たんだけど、あの2人とっくに結婚してると思ってたから逆にびっくりしちゃった」
「だよね、一番最初に結婚しそうだったのに」
「え? 他にも誰か結婚してる人いるの?」
「……あっ、いや、俺の勘違い。このサークルではあの2人が最初だよね」
速水のその質問に涼平ははっと我に返った。ごまかすように笑った涼平だったが、ほんの少し、胸の奥がチクリと痛む。
その痛みを紛らわすため、グラスに半分程残っていたビールを一気に流し込んだ。
「涼平くん結構雰囲気変わったね」
「えっ、そう?」
「髪型も変わってるし、なんか大人っぽくなった」
「大人っぽいって……実際いい歳した大人だよ」
「そうだけど、それだけじゃなくて……涼平くんて今──」
速水がそう言いかけたところで1人の男が2人の間に割って入った。
「涼平、お前来てたのかー!」
「最初からずっといたよ、俺そんな存在感薄い?」
肩を組むように涼平の肩にかけられた男の腕。その手にあるグラスに空になった自身のグラスを当てながら、涼平が皮肉を返す。
「ちょっと来いよ、あっちにみんな集まってるから」
「俺今速水さんと話してたんだけど」
「気にしなくていいから、行ってきなよ」
「ありがとう、ごめんね」
最初のコメントを投稿しよう!