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持ってきたビールもあっという間に飲み終わってしまった。缶ビール1杯で酔える程弱くはないけど、何もしないよりは少しマシなはず。
「……そろそろ寝る?」
「そうですね」
2人で同じベッドに入る。普通のシングルベッドだからそんなに広いわけじゃないのに、お互いの身体が触れ合わない位置に恭臣くんがいる。
「ベッドから落ちちゃうでしょ。もっとこっち来なよ」
「平気ですよ。涼平さんこそ壁際狭くないですか?」
「うん、大丈夫」
「明日楽しみにしてますね。おやすみなさい」
優しく微笑んだ恭臣くんはそう言うと俺に背を向けるように横になった。
「おやすみ」
余計なことは考えないようにと思っても、やっぱり無理だ。
(恭臣くんもう寝たのかな……)
様子を窺おうにも背中を向けられては何もわからない。
正確な時間はわからないけど、多分30分くらい経った頃、ベッドが軋んだ。俺は気付かれないように目を閉じて寝たふりをする。
恭臣くんが動く気配に心臓のバクバクが大きくなる。
(何する気なんだろう……)
けど、そのまま数秒待ってみても何も起きなかった。
そっと薄目を開けて確認すると恭臣くんはベッドから降りてスマホを触っていた。
「……どうしたの?」
予想外の姿に思わず声をかけてしまった。
「あ、すみません。起こしちゃいました?」
「いや、まだ起きてたから。恭臣くん、眠れないの?」
「明日のこと考えてたら目冴えてきちゃって。どうせなので今の内に下調べしておこうかと」
もっともらしいことを言ってるけど、さすがにそのまま信じる程、俺だってバカじゃない。
「本当に? もしかして今日も床で寝るつもりだったんじゃないの?」
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