光学的擬態生物(ミミック)

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「被疑者のフェイスブックにこの写真があった。中央が柏木、その右側はお前だよな」  縹は黙った。すでにそこまで調べられているとは。 「柏木はこのとき、どんな話をしてた? 柏木についてお前が知っていることをまとめて、大木に送っておいてくれ。あとは、連絡するまでおとなしくしていろ。いいな」  後輩の刑事大木が、今後柏木の周辺を洗う役割になるのだろう。  縹はため息をついた。丸山が自分のデスクから歩み寄ってきて肩を叩く。 「そんな顔するなよ。今後、柏木が容疑からはずれたら、ちゃんと呼び戻してやるから。それまでは、まあ、骨休めだと思って……」 「柏木のセンは、かなり濃厚なんですか」  縹が小さな声でたずねると、五十過ぎの班長は意地悪そうに、にやりと笑った。 「悪いが、部外者には答えられねえなあ。記者発表を待てや」  翌朝、縹は資料課の倉庫に自分のパソコンを持ち込むと、すぐに大木の携帯電話に架電した。さっきまで世田谷署で捜査会議に出ていた大木に、事件の詳細情報を求めたのだ。
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