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自分を知っている、ということは自分も相手を知っている可能性が高いということだ。
「森宮広志。オレはお前をよーく知っているヨ。仲間ダからネエ」
仲間?
「蛹は羽化スル」
声が言う。
「さあ、目覚めさせてアゲるネエ。変身の時だヨ」
変身? 何をする気だ。
それとも。
既にもう、何かされたのか……?
ぞわり、悪寒が体を走った。
ビッ。
目を塞いでいたテープが勢いよく剥がされ、一瞬にして燃え上がるような熱い痛みが一気に顔の上を走った。
「痛っ」
テープに塞がれた口の中で思わず叫んだ。
剥がされたテープの粘着部分にはきっと、森宮の眉や睫毛が多数へばりついていることだろう。
一体何者だ、と潤んだ瞳で見上げれば、薄汚れた長袖のシャツとところどころ破れている手袋が目に入った。
貧相にも思える痩せた体の持ち主は果たして知った顔かなのか、と見上げた森宮は目を見開いたまま息を飲んだ。
その顔はホラー映画か何かに出てくるキャラクターのように、目と鼻と唇以外包帯でぐるぐる巻きにされていた。
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