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「この体は全部、作り物だ。顔も、皮膚も、骨も。ああ、声帯は上手く作れなかったようだネエ。この通りの有様だ。あまりに気色悪い声だカラ、喋ることが憂鬱になる」
「つまり、あなたは人間ではない、と……」
「そうなら良かったけどネエ」
男は自分の頭を人差し指でつついた。
「人類の寿命は医療技術の進化で随分伸びたが、器である体の老化は止められないもんネエ。。病気やケガでダメになった部分をレプリカと取っ換えル、ってことは随分前からしていたけど、人間ってのは、欲深いモンだネエ。体の何パーセントまでならレプリカと取っ換えてもいいかナ、なんてバカみたいなことを考えた」
ギャギャギャギャ、きれいな顔を歪めて男は笑う。
「そしてついに、脳以外はすべて作りモノのレプリカントボディが完成したってワケ。気色悪いネエ。衰えない若々しい体に脳を移植できたら、永遠の命が手に入る、とでも思ったんだろうネエ」
人工の体。
レプリカ。
脳の移植。
嘘だ。出鱈目目だ。
そんな画期的なことが本当にできるなら、大体的に報道されたはずだ。
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