1人が本棚に入れています
本棚に追加
「問題は、どうやって試すか、だよネエ。誰が喜んで自分の脳を差し出す? 人工ボディはできたものの、中に入れる脳の準備はできていなかった。動物実験がいくら成功しても、人間となると安全の保障はないもんネエ。だから事故でもう助からないと判断されたオレの脳を使って試した。つまりオレは存在しないはずの人間なんだヨ」
「なぜそんな話を僕にするんですか」
いかれた妄想話だ。
そう思いながらも怖気が止まらない。森宮は自分の腕を無意識にさすった。
「ソワソワしているネエ、森宮クン。でも、きみの名前は本当に森宮広志かナ?」
この男の話は全く理解できない。騙されるな、と強い思いが沸き起こる。
最初のコメントを投稿しよう!