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そんな、呪いにも似た言葉だった。
セキュリティシステムが異常を感知して転がっている森宮を発見したのはその数時間後のことだった。
本日も、異常なし。
報告書を作成して送信すると森宮広志は「お先に失礼します」と外へ出た。
「本日未明倉庫で男性が倒れているのが発見されました。包帯で顔を巻いており、年齢や身元はっきりしたことはわかっておりません。近くの病院に運ばれましたが既に死亡していることが確認されました。死後、三日はたっているとのことです」
駅前のビルにはめ込まれたディスプレイ画面でニュースが流れた。
「包帯……」
立ち止まって画面を見上げる。
「囮の蛹。早く目覚めヨ」
不意に自分の唇をついて出た言葉の意味が森宮にはよくわからなかった。
何かの記憶の断片のようだが、思い出せない。
考えているうちにディスプレイ画面のニュースは次のニュースへと移り変わった。
包帯の男。
気がつくと、端末機を使って調べ始めていた。
だが、勿論先程のニュース以上のものは出てこなかった。
知りたい。
なぜか、強くそう思った。
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