1人が本棚に入れています
本棚に追加
今日の仕事はいくつか受け持っている管轄エリアのひとつ、都心から一番離れたCブロックのセキュリティカメラのメンテナンス作業だった。
「人々の安全と暮らしを守るタウンシステム」という触れ込みで街中、至る所にに監視カメラが配置されることになったのは数年前、人口が減り始めると同時に空き家や廃墟と化したビルが増え、そういった場所を拠点とした犯罪や火事が後を絶たなかったからだ。
街中をカメラで監視することで火事や事件、事故などをいち早く察知し、速やかに対応することを目的に構築されたタウンシステムは膨大な量のデータの解析とメンテナンスが欠かせない。
単調かつ根気と集中力が必要とされる業務の大半はAI搭載の機械が担っていたが、人の手が必要な部分もやはりある。
森宮の基本的な業務はAIがはじき出した街中に設置された不具合のあるセキュリティカメラのメンテナンスだった。
それは限りなく退屈で安全な仕事のはずだった。
Cブロックは別名廃墟エリアとも呼ばれる、人が住んでいない建物が多い地区だ。パトロール強化エリアでもある。
「周囲に気を配り、異常を感じたらすみやかに通報すること」
最初のコメントを投稿しよう!