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それにしても、今までこんなに大きな欠陥があることに気がつかなかったなんてどうかしている。
森宮がこんな目に遭うことでそれが証明されるなんて皮肉だ。
誰が何のためにこんなことを?
目的は何だ?
もしかして殺されるのか?
心当たりは全くない。
「理由もわからず死んでたまるか」
森宮は腹に力を入れ、上半身を僅かに起こした。
「くぬうっ」
額をざらざらした床に押し付けるようにして力を込めた。
「まだ、僕は何もしていない。誰の役にも立っていない。女の子とデートもしていない」
額を支えにしてなんとか起き上がろうとすると、石屑や砂粒がじりじりとめり込んできた。床はかなりザラザラしているようだ。
小石や砂粒があるってことは室内じゃないのか。でも、空気の動きをほとんど感じない……ということは、倉庫だろうか?
ようやく上半身を起こすことに成功して息を吐く。
「さて、次は」
口から息が吐けない分、鼻息が荒くなる。
動かすことでどこかに隙間ができないかと体をよじり、腕をくねらせる。
ほんの少しの隙間でいい。
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