1人が本棚に入れています
本棚に追加
どっくん、どっくん、自分の心臓が波打つように大きく跳ね上がる。
訳がわからないままぞくりとして総毛だった。
いや、わからないから怖いのか。
怖気を追い払うように森宮は更に激しく首を左右に振り手足をめちゃくちゃに動かした。
会話もできない、目も見えない、動くこともできない、こんな時はどうすればいいのかわからない。
だって、こんな目に遭ったことがない。
「さあさあさあ、始めヨウか」
舌なめずりするような声にびくりと身をすくめる。
「うわあおうおおう」
思わず放った意味不明な叫び声はびっちりと口に貼られたテープを震わせただけに留まった。
はっはっはっ、すすりあげるように鼻から呼吸する。胸が波打つ。
「助けて下さい」
森宮は動きにくい口でなんとかその言葉を伝えようとした。
助けて下さい助けて下さい助けて下さい助けて下さい助けて下さい、必死で言葉を発そうと顔の筋肉を動かし続ける。
「ギャギャギャ、ぐるぐる巻きの蛹みたいな姿になった気分はどうだい、、森宮クン」
名前を呼ばれたことに、森宮はぎょっとした。
最初のコメントを投稿しよう!