Prologue

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私立開北高等学園。 それは、一見すると全国から選りすぐりの者達が集まるトップ男子校。 しかしそれは表向きの姿。 ここで言う「男子校」とは、ただの男子だけのむさ苦しい空間ではない。実は幼稚園から高校まで一貫しているおぼっちゃま様専用学園であるが故に─ここに通う生徒の恋愛感覚は狂いに狂っている。長らく女性と触れ合ってこなかった彼らは、なんとも哀しく恋愛対象をいとも簡単に男へと切り替えてしまった。 きゃあきゃあというそれはまあ女に言われれば嬉しいであろう黄色い歓声が男から飛び交う。それもこの開北学園、学園内の顔面偏差値が馬鹿である。横を見ればイケメン、前を見てもイケメン、振り向いてもイケメン。だからと言って惚れることは無いだろうと思っていた者たちも、今や呆気なくきゃあきゃあ言う取り巻きのひとりだ。 そう。お気づきの方もいると思うが、ここは所謂王道学園。 全寮制。親衛隊。ここまで来ればお仲間なら分かるであろう。 なにより今年は王道メンバーが勢揃いの神年である。 生徒会長は俺様だし、副会長はドSだし、会計はまあ下半身だし、庶務は可愛いショタ系双子だし、書記は寡黙ワンコだし。 色々な奇跡が折り重なって、今年はやってきた。 そしてホモ学園には、そんなことだとは露知らず学力のみで高等部からの編入を果たした外部特待生がやってくる事がごく稀にある。 それがまたもや今年。神すぎる。 たった1人やってきた優秀な彼の名前は、結城仁(ゆいらぎ じん)。 見た目は少しだけ短髪で爽やかなスポーツマン風。何よりイケメン。イケメンだらけの開北へやって来ても目立つほどの上の上イケメン。 僕が最近推しているイケメンくんは、この爽やかな結城くん。 そう思っているのは僕だけではないようだ。爽やかでいつも優しそうだから、まだこの場に来たばかりだと言うのに既に親衛隊が発足していた。 ああ、自己紹介がまだでした。 僕の名前は田島隼斗(たじま はやと)。 小さい頃から姉の影響もあり生粋の腐男子です。 しかし!これから始まるお話は僕の妄想などでは全くなく、見事に波乱を巻き起こしてくれる爽やかイケメン・結城くんの実談です! 僕は非王道激推し勢なのでこの展開は万々歳と言ったところ。 それではお楽しみくださいお仲間様、ご武運を。
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