5人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱり、そうだ。よかった。見つけた」
声の主を見つけてイブも安堵の息を漏らします。
そばまで来ると、剣の様子をじっと見つめます。
本来なら、鞘におさまっているはずの剣はむき出しのまま、雪の上へと転がされている状態です。そのうえ、剣にはべったりと血の跡がついているのです。
『・・・・・・』
「これが気持ち悪かったんだね?」
イブが問いかけると、きらりんともう一度剣が光ります。
まるで意思表示をするかのように。
気持ち悪さを我慢して剣を観察します。
刀身に付いた血は。
幾筋もの流れた血の跡は。
この剣は誰かの命を奪ったのでしょうか?
ああ。
森が沈黙していた理由がわかりました。
鎮守の森と言われるように、ご神木が祀られている神聖な場所。
何よりも森が嫌うのは不浄なもの。
特に、血が嫌いだと樫の木さんから聞いたのです。
最初のコメントを投稿しよう!