沈黙の理由

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「やっぱり、そうだ。よかった。見つけた」  声の主を見つけてイブも安堵の息を漏らします。  そばまで来ると、剣の様子をじっと見つめます。  本来なら、鞘におさまっているはずの剣はむき出しのまま、雪の上へと転がされている状態です。そのうえ、剣にはべったりと血の跡がついているのです。 『・・・・・・』 「これが気持ち悪かったんだね?」  イブが問いかけると、きらりんともう一度剣が光ります。  まるで意思表示をするかのように。  気持ち悪さを我慢して剣を観察します。  刀身に付いた血は。  幾筋もの流れた血の跡は。  この剣は誰かの命を奪ったのでしょうか?  ああ。  森が沈黙していた理由がわかりました。  鎮守の森と言われるように、ご神木が祀られている神聖な場所。  何よりも森が嫌うのは不浄なもの。  特に、血が嫌いだと樫の木さんから聞いたのです。
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