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エピソード1
高校2年生の4月中旬。
私は他校の全日制からこの南桜坂高等学校の定時制へと転校してきた。
転校初日なので勝手がわからず、制服で来てしまったことを案内された場所にて後悔したのはついさきほどのこと。
「転校生の椎名あかりだ、皆仲良くするように」
案内されたのはなんと体育館でこれからクラスメイトになるであろう人たちに担任はそれだけ言って私になんの説明もなしにとっとと去っていった。
クラスメイトたちは話を聞いていないどころか転校生である私に特に興味を示さず、各々様々な座り方でもうすでに出来上がっているであろうグループでお喋りしたり、そうでない人は授業中であろうと言うのにスマートフォンをいじっている。
定時制ってこんなにも全日制と違うの!? え? というか普通もっと転校生にこう興味とか示すもんじゃないの!? とカルチャーショックを受ける中、体育教師によって今日が体力テストであることが告げられる。
体育教師に説明を受けたクラスメイトたちはさすが2年目とあって勝手知ったるという感じにバラけていく。
体力テストはいいんだけど、その前に私制服なんですけど! てか、担任の先生! 私一言もそんな話聞いてない! と文句を言いたくとも、すでにその相手はおらず……。
困惑しまくっている間にも、クラスメイトたちは仲良しグループたちにまとまりつつ「どこから回ろうか?」「めんどいから、校庭から回ろうよ」などと話し合いながら、体育館を出ていく人たちもいた。
「どうしよ……」
と、ぼそりと誰に聞かせるわけでもなく呟きながら前の学校のスクールバッ
クの持ち手の紐を肩にかけたまま、ぎゅっと握りしめる。
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