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地味な私とリーダー女子
「ねぇ、この本棚整理、お願いできる? 今日、忙しいんだよね」
そう、クラスのリーダー女子である美玲は毛先がくるくるとしたココア色の髪の毛に触りながら言う。
もう、これで何回目かな。
仕事を投げ出されて、自分の仕事じゃないものをやるのは。
ため息をつこうにもつけなくて私、心露は困ったように眉を下げた。
「うん、わかった……」
私はいつものように小さな声で言う。
「ありがとね。あぁ〜ほんと、心露みたいな頼まれたら断れないタイプって楽だわぁ〜」
「……っ!?」
頼まれたら断れないタイプ。
それはそれで当てはまるのかもしれない、だって反抗したら痛い目に合いそうだから。
だから、辛いことも言わずに頑張ってる。
私はクラスでも地味な人間に対して美玲はクラスのリーダー女子。
反抗なんてしたら駄目だ……。
「それじゃ、後はよろしく〜」
そう言い残して美玲はスタスタと図書室から出ていってしまった。
「はぁ……」
本棚整理やろっ、さっきのことは忘れて。
私はそう思って本に手をかけた。
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