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「私の従者のような者だ…普段真面目な癖に肝心な時に仕事しないとは」
普段通りを装っているが傷がやはり痛むのか声は弱弱しい。
ここには薬もない出られる力もない。無力な自分に悔しさが増し白蘭は唇をかんだ。
すると紅蓮は私の唇に手を当てた。
「それはやめろ」
「無力な自分が悔しくて」
「…出ようと思えばこんなところ出られる」
「じゃあなんでそうしないのよ!私を追いかけてこんな怪我まで負って」
白蘭は自分が足手まといになっていることを感じていた。
「人間がここから出るのは不可能だ。そんな中で術を使い出たとすれば、衛兵に追われ普通の生活が出来なくなる。」
「…私のために?」
「そのうち朱雀が来て貴妃を治せば私達は解放され白蘭も元の生活に戻れる。そのための時間稼ぎならばいくらでも私は傷を負う」
「なんで…なんでそこまでするのよ…ただの友にそこまでする必要ないじゃない…」
白蘭の涙を拭い紅蓮は少しの沈黙の後、答えた。
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