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似たもの夫婦
昔々、あるところにニートのおじいさんとオタクのおばあさんがいました。
おじいさんは家でゲーム。おばあさんは川へ洗濯に行きました。
頭の中で妄想しながらせっせと冷たい水で洗っていると、どんぶらこ、どんぶらこ、と大きな桃が流れてきます。おばあさんはそれを横目で見流し、漫画の新刊に思いを馳せていきました。
洗濯が終わり、家に帰ると、おじいさんが丁度昼寝をしているところでした。おばあさんはご飯の用意を手伝わせるため、おじいさんを起こすことにします。
バンっ!
と何かを落とした音がします。するとおじいさんは光のような速さで飛び起き、
「ばあさん!やめてくれぃ!わしの命が!」
と、言いました。
「じいさん。流石ね。本体を攻撃しても起きないのに、こっちを攻撃すると起きるのよね。わかりやすくて楽よ」
おばあさんは笑っています。おじいさんは顔が引き攣っています。おじいさんにはおばあさんの背後に黒いモヤが見えたようです。ご飯の用意をするとわかるや否や、
「ばあさん!昼飯の用意なら、わしがやるわい!ほら、本でも読んだらどうかい?!」
と言います。おばあさんは嬉しそうに、
「あら、いいの?毎日悪いわね。お言葉に甘えさせてもらうわ」
と言いました。実はこのおばあさん、料理が下手くそなのです。
例えば、火を使う料理をするなら、炭が出でき、ゆで卵を作ろうものならレンジがばくはつ、包丁を使うのなら絆創膏が空になる。(おじいさん談)
そのため料理ばかりはおじいさんがやっていました。そんなこんなでおじいさんが昼食を作りました。
おばあさんはまだ読んでいなかった新刊を手に取ります。まず、表紙を眺め、そのあと1ページ目を開きました。
もうすぐ、読み終わるところでおじいさんから、
「できあがったわぃ」
と言われましたが、おばあさんはもうあと10ページほどで読み終わるため無視していました。すると何やら向こうで
バサっ!バサッ!
と音がします。おばあさんはそっちを見ると、目を見開き、
「じいさん!何してるんだ!やめてください!私の命が!」
と叫びます。すると、おじいさんは
「はっはっは。ばあさんはわかりやすいのぅ。いくら声をかけても反応しないのにこうやって本を落とす否、捨てるとすぐに反応してくれる」
おばあさんはそれを聞き、食卓を見ると、料理が並んでいるじゃないですか。おばあさんはすぐに本を閉じ、
「さぁさぁ。いただきましょう!じいさんが作ったご飯を!」
と言いました。2人でいただきます、といい、食べ始めました。
食べ終わり、食器が洗い終わりました。このあとは何も予定がないので、おじいさんはゲーム、おばあさんは推し活をしていました。すると何やら外がうるさくなってきました。最初は放置していたのですが、うるさくなってきて集中の妨げになってきました。おじいさんとおばあさんはおもむろに立ち上がり、顔を見合わせて頷きます。
外に出てみるとなんということでしょう!鬼が村の人たちを襲っているではありませんか!2人は1度家に戻り、おじいさんは刀とおばあさんは拳銃を用意しました。
そして、2人は鬼に凸って行きました。
おじいさんは刀で小さな鬼を薙ぎ払い、おばあさんは拳銃で大きな鬼の脳天を撃ち抜いていきます。
鬼の形相で。
2人はとても怒っていたのです。ゲームの邪魔を、推しの声に被っていたことを。
数分もすると鬼が全て倒れています。
2人は村の人たちに感謝されると同時に、怒らせては行けない人と認定されました。
その後、おじいさんとおばあさんの像が建てられると鬼は来なくなり平和になりました。
めでたしめでたし。
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