嫉妬と優しさ

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「綾人さんがそんなことを言ったのですか!?」 由衣子の言葉にすぐ反応をしたのは零士だった。「ミイラ取りがミイラになっているじゃないですか」と続けてぽつりとこぼすと、綾人が再び足で運転席のシートを蹴った。 「あれはそういうのじゃねぇよ。仮にもこいつは今俺が花森家から預かってるわけだから、悪い虫がついたらいけないと思ってだな……ああ、もうめんどくせぇ。寝る」 なぜか不貞腐れたように吐き捨てたあと、綾人は背もたれに体をあずけて目を閉じてしまった。
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