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「お、おはようございます、綾人さん。すみません、つい居眠りをしてしまいました」
時計の針は午前十一時を指していた。少しだけ寝るはずがだいぶぐっすりと眠ってしまったらしい。
どうやら綾人も今起きてきたところらしく、こちらもだいぶぐっすりと寝ていたようだ。
「なぁ、冷蔵庫の中のアレ食べていいの?」
そう言って、綾人がキッチンの方を指差した。
冷蔵庫の中のアレとはなんだろう? 寝起きでまだしっかりと覚醒しきれていない由衣子は首をかしげる。
「ケーキだよ、ケーキ。お前が作ったんだろ。食べていい?」
「あ、ケーキ」
ようやく由衣子は思い出した。
(そうだった。綾人さんに食べてほしくて作ったんだ)
「もちろんです。すぐに切り分けるのでお待ちください」
由衣子はすぐにソファから立ち上がるけれど、ふと感じた腹痛に顔を歪める。
寝れば治ると思っていたのにどうやらまだ治っていないらしい。
「……すみません。その前にお手洗いに行ってもいいですか」
「腹でも痛いの?」
両手でお腹をおさえている由衣子を見て綾人が尋ねた。
「だ、大丈夫です。すぐに戻りますので」
由衣子はよろよろと歩きながらリビングをあとにしてトイレに向かう。
そして、この腹痛の正体に気が付いた。
トイレットペーパーにうっすらと赤いものが付着していたのだ。
これは、女性が月に一度やってくるアレである。
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