嫉妬と優しさ

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由衣子はとりあえずの応急処置としてトイレットペーパーを何重にも巻いてショーツの上に重ねた。 ナプキンと比べればだいぶ心許ないけれど、なにもしていないよりかはましだろう。このあとすぐにナプキンを買いに出掛ければいい。 「すみませんでした」 トイレの扉を開くと、そこには綾人の姿がある。 「お前なんか変なもんでも食った?」 どうやら綾人は由衣子の腹痛を食あたりのせいだと思っているらしい。 「確かどっかに薬あったと思うけど飲む?」 「いえ、大丈夫です。そういうのではないので」 「そういうのじゃないって、じゃあどういうのだよ」 「え、えっと……」 食あたりではなくて生理です。突然きてしまって困っています。正直にそう打ち明けられたらいいのだけれど言えるわけがない。 そしてやはり立っているとお腹が痛い。 「うぅっ……」 増していく痛みに耐えきれなくなった由衣子はその場にうずくまってしまった。 痛すぎて動けないかもしれない。最悪だ。どうしよう。 (これじゃあナプキン買いに行けないかも……) もともと生理痛はひどい方だけれど今回はいつも以上の痛みだ。なぜこんなときに限って……と、由衣子はなんだか泣きたくなった。 「えっ、マジでお前大丈夫? 死にそうじゃん」 綾人が隣にしゃがみ込むと由衣子のことを労るように背中に手を添えてさすってくれる。 (もしかして綾人さん、私を心配してくれてるのかな)
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