消えてくれない

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新しい夏の始まりを告げる雨が静かに降る23時 俺はベランダの窓を閉めた。 眼下には彼女があり得ない形に曲がって 落ちているだろうが、俺は見ない。 知らない。 俺は知らない。 ソファーに深く腰をかけ、 タバコに火を付け直した。 さっきまで、 書斎で激しく求めあった女が死んだ。 淡々とした事実だけが時を刻んでいった。
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