三等仮面ライダー・ショクタク

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「豆腐と小揚買ってきて。寿司揚げね、小揚。それと牛乳も1本。」 母親からの電話司令を受けて立ち上がった時、空が青かった。 山の頂上に秘密兵器造った博士に重要なパーツを届ける(交通費1000円別)の仕事を受けたのだか、舐めていた。こうみえて仮面ライダーなのだが、持ち込みのバトルフリッパー(125cc)のギアチェンジしくってハイサイド。投げ出された先でエンジンに抱きつかれ、足を押さえつけられた。あばらも、痛い。加えて3日前に抜いた親知らずのあとがズキズキしている。あばら骨、足、親知らずの痛みが同期している。心臓は、仕事している。神経が病んでくる。ある意味、絶体絶命だ。 山に向かって走らせ、アスファルトはやがてコンクリートのたたき出し。やがて、天然の排水路となり道が消えた。その矢先だった。しかし、この先の山の頂上にいる博士の下に、とても大切に保管したパーツを届けるのだっ!それが使命だっ! 山に囲まれた谷山の頂上、博士は何をしとるんだ?携帯は圏外となった。周りは暗くなる一方だ。都会育ちには得体の知れない物音の方が怖い。戦闘員とのバトルの方がまだマシだと言える。・・・とりあえず、歌っちゃう? 「あらしとともに、やぁってきたぁ~・・・」 三点バーストで疼く身体を気にしつつ紛らわしていると、上方にポツンと光が見えてきたっ!おう、巴里の火よっ!とはいえ周りに”悪”がはびこっているかもしれない。抑えて慎重に近づくと・・・ 「もしかして、仮面ライダーの人?遅かったねぇ~」 向こうから声かけてきた。 「そうです、大切なパーツ、お持ちしました。」 判子いる?サインのがいいかな?と聞いてきたので、それは結構ですと丁寧にお断りした。 博士は語る。 「望遠鏡の接眼レンズ、特注したんだが、ここまで来て忘れたことにきづいちゃって、急いで取りに行ってもらったんだよ。」 博士、ボテボテ、太ってる。こんな山奥まで来るタイプぢゃないのになぜ? 「荷物といっしょに、パラグライダーで放り出してもらったんだが、肝心のパーツを忘れるたぁ、まったくもって申し訳ない。歳は食いたくないねぇ~」 博士、無茶しやがって。 「で、この場所、良いだろう?潅木で空は開けてる。遠くに高い山があるから街の光は遮断される。当然、暗い。星見るには最良の環境だよ。」 さあ、その特別な接眼レンズとやらを取り付けて望遠鏡で宇宙の海を眺めてくれい。 「そうだ、兄さん、今日は泊まってくだろう。これから下るにゃ難儀だろいに。」 お気遣い、ありがとうございます。 「酒、届けてもらったんだ、大吟醸っ♪」 大型のワンポールテント(秘密基地?)から、一升瓶3本、掘り出してきた・・・どれも都会じゃプレミアついて手に入らない幻の酒・・・ 「つまみもあるよ。刺身ってわけにゃあいかないが、干物セット。アマダイとホタテもあるよっ♪」 幻の吟醸酒に半ナマ干物?博士、それをどうやって?!いぶかしんでいると、博士がのたもうた。 「あ、これ?Amasonと黒猫。運送屋さんは、こんな山奥でもすぐ来るねぇ~FAXで発注したんだけど翌日届いたよ。」 なっ!FAX?奥に発電機が見えた・・・ 「きみんとこもそれなりに早かったよ。3日目だったけど、まぁ、精密機器だしねぇ~」 博士、さりげなく慰めてくれなくて結構です。私が受けたのは、本日朝イチ。この伝達速度の遅さ・・・所詮、組織か・・・てか、博士、なんの研究してんだ?正義の為なのか?いや、違うっ!、これは・・・ 「さて、駆けつけ3杯、いっちゃうっ♪」 「いただきますっ!」 うなこたぁ、どうでもいいっ!本日は、泊まりだっ!今夜、星を眺めながら飲みまくるっ!私は変身してやるっ!虎だっ!虎になるのだっ!一升瓶は、今、開け放たれたばかりだっ! あっ、おかぁさん、1日経っても捜索願い出さないでくださいね・・・
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