天詩を相続されますか? されませんか?

3/12
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
『天使死ね、天使死ね、天使死ね……』 『そんなに歪んだ性格してると、おまえの嫁なんて夢のまた夢だね』 『これは……ゲームをやっているだけで……別に天詩(てんし)とは一切関係ない……』 『社会に順応しない人間が、結婚できるわけがないだろ』  命あるもの、いつかは亡くなってしまう。  俺のように、命が失われることを冷たいものだと考える人々が増えたからかもしれない。 『順応できてるって! こう見えて、高校受験当日に道に迷う天詩を助けて……』 『道に迷った人を助けるのは、当然のことだろ』 『うっ……』  それが直接の原因かは正直分からないが、大切な家族を亡くした家庭に天詩を1人派遣するという謎の法改正が行われた。 『でも、天詩を助けたのは事実! 俺にだって、結婚の1つや2つできるって!』 『文渡(ふみと)文渡が、どんなにいいお嬢さんを連れてくるか楽しみだよ』  1人になりたくない。  そう強く願っている人間にこそ、試練は訪れる。  ばーちゃんが死ぬ直前のタイミングを見計らっていたかのように、俺が独りになった瞬間を狙って世界は変化し始めた。 『母さん以上の人を連れてきてやるよ!』 『随分、長生きしないといけないみたいだね』  そんな軽口を叩く相手すらいなくなってしまった世界。  ああ、また独りになるんだって思っていた矢先に、神様は俺へのプレゼントを準備し始めた。 「七里文渡(ななさとふみと)さん」 「はい」 「天詩を相続されますか? されませんか?」  育て親だった祖母を亡くした俺の元に、1人の天詩が相続されることになった。 「相続します」
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!