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そして、「ぁあっ・・・・あぅ・・・・ぅあ・・・・」と、荒い呼吸の間に言葉を漏らしながら、ライトを拾うとそのまま発狂しながら、駆けだして行ってしまった。
『お父さんっ!お父さんっ!お父さんっ!』
僕は僕にしか出せない声で、斜面の下の暗闇に向けて何度も何度も叫んだ。
「・・・っ!空か・・・・大丈夫。俺は、大丈夫だ」
ライトを持っていかれてしまったせいで、辺りは本当に真っ暗で何も見えなくて、暗闇からお父さんの声だけが聞こえた。
『待ってて、今、僕も行くから!』
僕はお父さんの声のする方へそっと足を踏み出した。
ズルっ!
踏み出した足が滑る。それでも精一杯踏ん張って僕はズルズルと暗闇の中、斜面を滑り降りた。
『お父さんっ!お父さん!どこにいるの!』
「空!駄目だ!そこで待ってるんだ!」
そう言われても、もう遅い。
僕の身体はズルズルと斜面を滑り落ちてもう、自分ではどうすることもできなかった。。
怖いっ!
転げ落ちながら身体を硬直させた時だ。
良く知っている腕が僕の身体を包み込んだ。
「空っ」
『お父さんっ』
その時だ。バキっと木の折れた音がしたのと同時に、僕とお父さんの身体は再び山の斜面へと投げ出された。
投げ出された瞬間に、お父さんが両手でしっかりと僕を抱きしめたのがわかった。
お父さんと僕は、グルグルと回って上も下もわからなくなった時、大きな衝撃があった。
「うっ」
耳のすぐ近くでお父さんの声が聞こえた。
『お父さん?』
僕を抱きしめるお父さんの腕から抜け出して、顔を覗き込む。
寝てる・・・・?いや、違う。
『お父さん、起きて!起きて!』
耳元で何度も叫んでみたけど、お父さんは僕を見てくれない。
どうしよう!お父さんを助けなきゃ!
僕は必死に考えた。どうしたら、お父さんを助けられる?
そして次の瞬間、僕は走った。
お父さん、待ってて!お父さんを助けてくれる人を連れてくるから!
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