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「今朝、宮脇を見たんだけどよ」
マサが振り返って大袈裟に手を広げて言う。
私は宮脇と言われてピンと来なかったのだけど、どうやら数日前に私が…、樹が頭突きして気絶させた不良の事だったみたい。
そんな名前だっけ…。
私は表情を変えずにマサの話を聞く事にした。
「鼻にガーゼ貼っててよ」
そこまで言うと声を上げて笑った。
そんな事が声を上げて笑う程の事かと少し考えてしまった。
「大袈裟だっちゅうの」
今度は全員で声を上げて笑っていた。
「でもよ、聞いた話じゃ前歯二本いっちゃったみたいでよ」
今度はヒロが言う。
ようやく、ヒロとコウジの事を覚えた。
眉毛を細く揃えてるのがヒロで、爪を噛む癖のある背の高い方がコウジ。
「おぉ…。それは酷いな」
ヨースケが笑いながら言った事でまた皆が声を上げて笑う。
アレで前歯抜けちゃったんだ…。
何か悪い事したな…。
私は俯いて、眉を寄せる。
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