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役所の外、植え込みの前に置かれたベンチにナオミとドナルドは座っていた。
二時間近くかかって千代と江見が役所の玄関口から姿を現すと、二人は立ち上がった。
「どうでした」
ナオミが尋ねると、「無事、申請できました」と千代が答えた。
ナオミはドナルドにそのことを英語に訳してあげると、ドナルドは大いに喜んで千代を抱きしめた。
困惑した顔をしながら「ありがとう」と日本語で千代はドナルドに返したが、ドナルドの大柄な体に、千代はすっかり覆われてしまっていた。ナオミも「おめでとう」とドナルドの巨体に埋もれた千代に言った。
「審査はたぶん、大丈夫。次は住まい探しね。仕事を探すには住所がないといけないから。とりあえず、まず第一歩ね」
江見が言った。
その後、一堂は解散した。
(続く)
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