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強く刺激すれば雄が更に膨らんで、羽空が苦しげに眉間に皺を寄せる。気持ち良いって言葉にしなくても宇に伝わる。なんだか嬉しくなってもっとしてやれと思ってしまう。
刺激が足りなかったのか、突然後ろから羽空に頭を掴まれ、宇の喉深くまで逞しい雄が届いて余りの苦しさに涙が滲む。乱暴に口の中を犯され、内側の頬を何度も擦られ宇の口内に苦味が充満する。
ビクビクと口の中で羽空の雄が痙攣するのがわかった。それと同時に宇の口は突然自由になり、涙を流しながらむせ返る宇は羽空に引っ張られ、カウンターに突っ伏した。
後ろからスカートを捲り上げられ、乱暴に下着を引き下ろされる。
「やっ!」
形の良い小さな尻を丸出しにさせられ、一気に恐怖が宇を襲う。
「やだっ、やだぁっ!」
泣きながら近付く羽空の体を押し退けようと必死に背後に腕を伸ばすが、体勢のせいで大した力が入らない。
恐ろし過ぎる現実を受け入れたくなくて宇はぎゅっと強く両目を瞑った。
その瞬間、尻に生温かいものが掛かって驚いた宇の体はビクビクと震えた。
「……掛け……られた──」
宇は呆然と口にしながらも内心は何百倍も安堵していた。確かめたかった羽空の顔は上半身を重ねるようにしてすぐ背中に乗られたせいで見えずに終わり、宇は少し悔しかった。
耳元で気持ち良さげに羽空が濡れた溜め息をつくものだから宇の体が無意識にピクリと反応した。
「泣いてる奴に無理矢理ヤるか、アホ」
「もう十分すぎるほど無理矢理祭りだった気がするんだけど……」
「ふふ、確かに」
「確かにじゃないっ!」
ドクンドクンと羽空の打つ心音が背中を伝って宇へと届く。少しだけ早いそれに思わず宇も釣られそうになる。
「びっくりした……俺、ここで羽空くんに犯されちゃうのかと思った……」
「まぁ、お前が星なら最後までヤってたな」
その言葉で全身に寒気が走り、体温を失ったみたいに宇は白い顔をして羽空の方を見た。
「なんつー顔してんだ」と羽空に言われて宇は自分が泣いていることに気付いた。
羽空は自分で汚した宇の可愛い尻を綺麗にしてやりながらなぜかずっと微笑んでいて、物凄く宇は腹が立った。
羽空に着衣を整えられ、されるがままに強張った体を起こされるが、それでもまだ宇の涙は止まっていなかった。
「可愛いな、ほんと」
性懲りも無く軽口を叩いて泣いている宇のおでこにキスする羽空にムカついたのか、宇は羽空の胸を思い切り殴る。どうやら羽空も思ったより痛かったらしい。
「お前の姉貴は俺を好きなんだろ? 好きだって言い寄ってくる奴なら俺だって簡単に抱くよ。問題ないだろ、同意なんだから」
「……ヤリチン」
「何でだよ、お前には使ってねぇだろ」
どの口が言っているんだと、怒りを孕んだ瞳は潤んだまま羽空を睨む。
「だからさ、お前も早く俺を好きって言えよ?」
「何言ってんの? こんなことされて好きになるわけじゃん!」
「ふぅん? 俺、勘は良い方だけどな」
「このあたおか! 3B! 自意識過剰男!」
「吊り橋効果って知ってるか? 宇」
「あれはチート! 実際は顔で決まるんだよ!」
「お前俺の顔好きじゃん、近くで俺のこと見てる時猛禽類みたいな目してたぞ」
「してないっ! するわけないじゃん!」
「本当にぃ? 少しも思わなかった〜? 少しもドキドキしなかったの〜?」
図星を指されて宇は「もう帰る!」とドアに向かう。
鍵に手をかけた宇を後ろから抱きとめ、その弱い耳元で羽空はわざと囁いてみせる。
「今逃げたらもう追わない。俺は一生お前を追わないよ──」
「へぇ、そう。安心した」
「それでお前の家でお前の姉貴とセックスしてやる」
「──最低……このヤリチン、最低男、糞男」
「今、想像した? 頭の中で──お前の姉貴と俺がヤッてるとこ……お前が口で咥えたコレ、姉貴に挿れてるとこ」
わざとらしく服の上から自分の雄を宇の体に押し付けて、スカートの上から宇の後ろの孔に指をあてがう。
「ここ……に、俺のを挿れたらお前……どんなになっちゃうんだろうな……。その時俺がどんな顔するのか──お前知りたくない?」
うなじを強く吸われ、宇はなぜか触れられてる場所が熱くなるのを感じた。耳朶を甘噛みされて大きな舌が首筋を這う。
「知りたくなんか……ない……」
「想像してる? お前の硬くなってるよ……」とスカート越しに前をなぞられ、宇は腰が浮いた。そのせいで後ろにあった指が少しだけ奥へ入って思わず締め付けてしまう。
「やっ……」
「可愛い──やっぱ宇はえっちだなぁ。なぁ、宇……絶対気持ち良いよ──俺としたらどんな風に気持ち良いのか気になるだろ?」
「もう俺に……呪いを掛けるなぁ……」と宇は泣きながら必死に心の中で抵抗する。
「呪い?」
「その低くて甘い声が呪いっ、赤ちゃんのこと寝かしちゃうその声、耳から体の奥まで入ってくるの……おかしくなる。もうやだ、やだぁ……」
「お前こそ、謎の言葉で俺を悩殺するのはやめろ──」
ピンク色になった耳朶とうなじが震えながら理性と好奇心の狭間で戦っている。その勝敗の行方など羽空にはすでにお見通しだ──。
羽空はニヤリと悪魔みたいに大きく口の端を上げ、更にその体を強く抱きしめ耳元で何度も甘く囁き、好奇心が仇となり、淫楽を教えられてしまった可愛い天使を腕の中にゆっくりと堕としてゆく──。
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