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連続通り魔事件が起きていた。 金曜日の夜、学習塾帰りの女子中学生が何者かに襲われたのだ。 背中に刃物で切り付けられたようなキズが残されており、意識不明の重体。 そして犯人が見つからないまま、翌週の金曜夜にまた同じような事件が起きた。 被害者は男子中学生。先週の女子生徒と同じ学習塾に通っていた。 今度は全身にキズを負い死亡。犯人は捕まっていない。 そんな折、探偵 上島コウヘイに少年の捜索依頼が飛び込んできた。 小学5年生のマサルくんは連続通り魔事件の被害者と同じ塾に通っている。彼が火曜日に塾へ向かったきり、その後の足取りがわからないというのだ。 「塾の方から来てないと電話があったんですね?」 「はい。例の事件があったので帰りは迎えに行くつもりだったんですが、  塾へ行くのはまだ明るい時間帯だったので・・・」 依頼人である両親はうつむいたまま顔を上げようとしない。 既に警察には捜索依頼を出したが、事件と事故の両面での捜査ということになっている。未解決の連続通り魔事件を抱えている警察がどのくらいマサルくんの捜索に人員を割いてくれるのかは不明だ。 次の金曜日に3週連続で事件が起きると考えれば、なんとしてもそれまでに息子を探し出して欲しいというわけだ。 そして次の金曜の夜、捜査中の警察をあざ笑うように、犯人は3度目の犯行におよんだ。 犯行現場はマサルくんの塾から遠く、繁華街の端のあたりであった。 被害にあったのはこれまでと同じく女子中学生。違っていたのは初めて監視カメラが犯人の姿をハッキリ捕らえたということだった。 「ライオン男の正体は!?」 翌日のすべてのメディアは監視カメラに記録された犯人の映像を報じていた。 フードつきのジャージのようなよくあるスポーツウェアに身を包んだ人影は背の高い成人男性のように見える。しかし異様だったのはふさふさの髪の毛がぐるりと顔の回りを囲むように生えており、まるでライオンのたてがみのようであった。 凶器は持っておらず、素手で被害者に殴りかかったように見えたが、女児は軽く数メートル投げ飛ばされていた。 そして、警察の調べによると遺体に残された裂傷はまるでライオンの爪で引きさかれたようであったという。
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