悪魔の復活はいつだ

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 家を買ってしまった人相手に言うのをためらったようだが、母の強い口調に観念したように話した。 「いわゆる幽霊屋敷ってやつですよ。何十年前だったか、ここに外国人の家族が引っ越してきたらしいです。家を建てて何か大きな荷物を運んで。それから数日間、悲鳴や凄い音が聞こえて来たとか。何なのかと尋ねようにも彼らは日本語がわからないので話にならないし、つっけんどんに帰れ帰れと追い払ってくる始末。そのまま放っておいたら、いつの間にかいなくなっていたらしいですよ。それから、たまに変な音とか声がするって噂で。地元住民は近づきません」  収入が少なかった男は、不気味に思いつつも管理人の仕事を引き受けた。掃除や庭の手入れなどは昼に行い、夜は近づかないようにしているという。 「やっぱり気のせいじゃなかったんだ、絶対何かある」  母は別荘に入り、隅々まで調査をした。するとカーペットの下の床が不自然に新しい事に気づいた。道具を使ってこじ開けると、なんと地下に繋がる階段があったのだ。おそるおそる降りてみると、そこには床に魔法陣のようなものが描かれていてその上に大きな棺があった。人間が入るにはかなり大きい、二メートル以上はありそうだ。棺はしっかり釘が打ち付けてあるが、一か所だけ。 「釘が」  釘が今にも取れそうなほどに浮いている。釘が浮いて来るなどありえないはずだ。ネジではないのだ。釘を戻そうと触るとパキンと折れてしまった。かなり錆びていて劣化が激しかったようだ。他の釘はしっかりと打ち付けてあるので蓋が取れてしまうという事はなさそうだ。  紙や本が散らばっておりそれらをすべて回収すると母は娘を連れて急いで別荘を出た。今見たことは絶対パパには内緒よ、と言って。家に戻った母は全文英語で書かれた本などをツールを使って翻訳した。 「悪魔だわ、あそこには悪魔が封印されていた!」  そこから、母の行動はだんだんおかしくなっていく。翌年別荘に行くと父の前では平静を保っていたが、夜必ず地下に行き釘が抜けていないか確認していた。封印がちゃんとされているかを見ていたのだ。 「釘が一本浮いていたという事は、封印を解こうともがいているんだ。私が聞いたあの音も絶対に暴れていたからだわ。昨日、何か音は聞いた?」 「聞いてない、私寝てたから」 「そう……」  悪魔祓いを調べ、おかしなオカルトグッズを買いあさり、教会に悪魔との戦い方を聞きに行き、護符や十字架などを買い集めた。
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