モノクロ・ラプソディー

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「……ひとつ聞いていいですか」  かっこいい先輩ムーブを想像しては落ち込んでいる早見さんは、僕の問いかけに短くおう、と返す。 「どうして僕を選んだんですか? ナルは、みんなを盛り上げるプレーができる。それ自分に厳しくて視野が広い。ナルの方がよっぽど主将に向いてると思います」  早見さんは珍しく真剣な表情になり、飄々と答えた。 「まあ普通に考えたらそうだな。でもそれで今年ダメだったろ?」  胸がじくりと痛む。そんな僕にはお構いなしに続ける。 「バレーは楽しい。楽しいから頑張れるし、絶対に負けたくない。その気持ちが間違っているわけがない。でもな、チームを作るってことになると話が違うらしい。……まあ簡単に言うと上げすぎたってことだ」  目を細めて夕日の方を向きながら、早見さんは柔らかく笑った。その横顔はどこか悲しげで、何と声をかければいいか分からなかった。  戸惑う僕に気づき今度は明るい口調になる。 「だからタキ、お前なんだよ。ナルは俺に似てるからな。お前はいつだって冷静で筋が通ってる。楽しかろうが苦しかろうがペースを乱さずやるべきことをキッチリやりきる。きっとみんなからすりゃあお前の方が説得力あるだろ」  体が熱くなる。それと同時に唇が勝手に動き出す。
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