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そんなことをいって私の肩に腕を置く、でも大松さんは「ふうん」といったきりだ。私が最初に現れた時もこんなものだったから気にもしないのだろうか。
簡単な打ち合わせの後、撮影が始まる。その間に私は池口さんから改めて修二さんのスケジュールを確認させてもらう。
修二さんも休みがないなと思っていたけど、映画のほうが早々に終わってしまったから、少しゆとりのあるスケジュールになった。でも完全に休みとならないところが人気者の証拠かな。
それを丁寧にスケジュール帳に書き込んでいると、
「千景」
不意に修二さんに呼ばれた、あっ、休憩になってた! 慌ててベンチコートとペットボトルの水を持って、スチールの椅子に座る修二さんの元に急ぐ。
「寒ーな」
いってコートを羽織る。
「あ、じゃあ、コーヒー、持ってこようか」
ポットに作られたコーヒーはある。でもコーヒーも実は体を冷やす食材なんだよね、今度白湯でも持ってこよう、修二さん、水筒持ってるかな。持ってないなら今度一緒に買いに行こう。
「あ、少しの間でもストーブのそばに」
やはり冷えた体を温めるために、大きな屋外用のストーブはある、ぶっちゃけ私達裏方用になってなくもないけれど。
「あったまったら動きたくなくなる」
いって修二さんはペットボトルから水を一口飲む。それだけで済んだようで、蓋をすると私に差し出す、受け取ろうとしたその手首を掴まれた。
「え」
反転するように引っ張られ、腰を抱かれ、修二さんの足の上に座らされる。
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