161人が本棚に入れています
本棚に追加
「え!?」
「あーあったけえー」
瞬間、周囲に息を呑むような悲鳴が渦巻いたのを感じた、修二さんはそんなことは気にも留めずに私を抱きしめ背中に頬をこすり付ける。
「ちょ、ちょちょちょ、なにして……!」
「人間湯たんぽ」
「駄目だよ!」
慌てて立ち上がろうとするけど修二さんにがっちり腰を抱えられてて叶わない、腕に手もかけるけど、もう、馬鹿力! 解けやしない!
「えー、なになにー、ふたりって、そんな関係なのー?」
店内で菓子をつまんでいた大松さんが大きな声で茶化す、皆もそう思ったんだろう、視線が集まっているのを感じる。
「そう」
背後で嬉しそうな修二さんの声がする。
「違います!」
慌てて叫んだけれど、池口さんが吹き出すのが聞こえた。
「んもう、いいですよ、隠さなくて。社長も公認なのに」
「公認!?」
「だってさ。よかったな」
「よくない!」
「よくないのかよ」
「え、違……っ、嬉しい、けど……っ」
そうじゃない、今は仕事中なんだから、こんなの駄目なの!
「今は、許して……っ」
「許してって、昨夜も散々聞いたな」
修二さんは私を抱きしめたまま笑う、余計なことをいうな!
「ふふ、いつから?」
大松さんが近づきながら聞く。
「千景、いつ?」
意地悪な質問には答えない!
「まあ、最近です」
修二さんが笑顔で代返した。声が明るく弾んでる、こんなに上機嫌な修二さん初めて見る……。
「ああ、寒ー」
最初のコメントを投稿しよう!