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夕食の時に改めて皆さんに伝えた。
綾乃の親類は皆大喜びで、綾乃が飲めないからと綾乃の分まで飲む羽目になった。
「ちょっと、あまり飲まさないでよ」
「大丈夫、大丈夫」
「雅も断っていいんだからね」
綾乃がフォローしてくれたけど、義兄たちはちゃんと手加減してくれていた。
だけど、俺も嬉しくて、楽しくて、酔っ払って、気づいたら綾乃の自室のベッドだった。
「おはよ」
「……おはよう」
「お水のむ?」
「ぅん」
「すんごい酔ってたわよ」
綾乃に言われて「何か粗相したのか」と不安になった。酒癖は悪い方ではないが。
そんな俺の不安を見抜いたのか、綾乃が苦笑した。
「太一兄がアルバム持ってきたのよ。覚えてる?私が小さい頃の写真よ。そしたら、『綾乃と俺の子だから絶対可愛いんだ。梓になんかやらねえ。誰にもやらねえ』って言い出して。『男でも女でもやらねえ』って言ってたわよ」
綾乃がクスクス笑ってる。俺は「そんなこと言ったっけ」と鈍い頭を働かせていた。
「『綾乃は小さい時から綾乃だなー。かわいいなー。あーかわいい、俺の綾乃』ってなんか急にデレ始めて、私は身の置き場がなかったわ」
「それは…ごめん」
「いいわよ。お母さんは喜んでたし、お父さんは何故か雅と一緒に頷いてたわ。そこからはまあ、暴露大会ね。不幸中の幸いというか、小夜子さんたちがいなかったことかしら」
「それは幸運だ」
「でも、話を聞いたら絶対突かれるわよ?一応釘刺しておいたけど」
あぁ、さすができる嫁や。
俺の綾乃、いい女。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「もうちょっと寝よう」
「何言ってるの、戻らなかったらまた変な目で見られるわよ」
「いいじゃん。だって綾乃は俺のだし、何してもいいんだよ。それに、変なコトはできないでしょ」
ベッドの傍で立っている綾乃に手を伸ばす。
いつもなら手を引いて布団の中に引き摺り込むけど、そんなことはしないさ。
「一時間だけ」
「はいはい、しかたないわね」
綾乃がもそりとベッドの中に入ってくる。
俺は綾乃の温もりを抱きしめながらもう一度目を閉じた。
だが、綾乃に言われた通り、綾乃が戻らなかったせいで俺たちはこっそり皆に何してるのか扉の向こうから観察されていたらしい。
ただ寝てただけで、大騒ぎされるのもなんだかなーと思う。(親族あるあるかもしれない)
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