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昼食前に俺たちは綾乃の実家を後にし、俺の実家に向かった。両親共に待っており、少しして姉夫婦達もやってきた。
「あらー!あらあらっ」
「おめでとう!綾乃ちゃん!」
母と姉はそれはそれはもう大喜び。
綾乃は照れ臭そうに「ありがとうございます」とお淑やかに笑っている。
「あーや、あかちゃんいるの?」
少し大きくなった佑月が不思議そうに綾乃のお腹を見つめていた。まだ膨らみもないせいで彼女にとって「どこにいるの?」と思ったんだろう。
綾乃は頷きながら「沢山遊んであげてね」と佑月に笑いかけた。
「よかったね、佑月。佑月お姉ちゃんね」
「おねえちゃん!」
佑月は嬉しそうにぴょん、と跳ねる。
「性別はどっちかしら。ってまだわからなきわね」
母までもウキウキしながら訊ねてきた。
答えるまでもなく自己完結できたようだが。
「ゆず、おんなのこがいい!」
「あら。おばあちゃんも女の子がいいわ」
「綾乃ちゃんに似てくれたらいいけどね」
父とオセロをしていた夏樹がふと顔を上げた。
目が合った彼は。
「俺は男がいい。そしたら、サッカー教えてやるんだ」
夏樹はすっかりと少年から青年へ変わろうとしていた。今年は小学校最高学年。クラブ チームでも、後輩を面倒みる立場らしく、お世話係が板についている。
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