お祝いと友人からの相談

28/29
前へ
/337ページ
次へ
 昼食前に俺たちは綾乃の実家を後にし、俺の実家に向かった。両親共に待っており、少しして姉夫婦達もやってきた。  「あらー!あらあらっ」  「おめでとう!綾乃ちゃん!」  母と姉はそれはそれはもう大喜び。  綾乃は照れ臭そうに「ありがとうございます」とお淑やかに笑っている。  「あーや、あかちゃんいるの?」  少し大きくなった佑月が不思議そうに綾乃のお腹を見つめていた。まだ膨らみもないせいで彼女にとって「どこにいるの?」と思ったんだろう。  綾乃は頷きながら「沢山遊んであげてね」と佑月に笑いかけた。  「よかったね、佑月。佑月お姉ちゃんね」  「おねえちゃん!」    佑月は嬉しそうにぴょん、と跳ねる。    「性別はどっちかしら。ってまだわからなきわね」  母までもウキウキしながら訊ねてきた。  答えるまでもなく自己完結できたようだが。  「ゆず、おんなのこがいい!」  「あら。おばあちゃんも女の子がいいわ」  「綾乃ちゃんに似てくれたらいいけどね」  父とオセロをしていた夏樹がふと顔を上げた。  目が合った彼は。  「俺は男がいい。そしたら、サッカー教えてやるんだ」  夏樹はすっかりと少年から青年へ変わろうとしていた。今年は小学校最高学年。クラブ チームでも、後輩を面倒みる立場らしく、お世話係が板についている。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6281人が本棚に入れています
本棚に追加