我が家のお姫様

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 まもなくG.Wを迎える頃。私のお腹はいい感じに育っていた。予定日までちょうどあと2か月。    そして、今日は、私にとってとても特別な日だった。  「おつかれさまです、結城改め、木下です」  今私は、恐れ多くも終業時刻より一時間ほど早い時間に集まった社員全員の前に立っていた。  隣には雅もいるし、少し離れたところで九条くんと香月くんもいる。  「この会社に入社して丸10年。色んなことがありました。忙しくて毎日があっという間で、だけど非常に充実していました。そして、そんな節目に縁があり、新しい命を授かることができました。すこし寂しいですが、明日からお休みを頂きます」  私にとって、ここは、この会社はとても思い入れのある場所だ。だからこそ、今日を迎えることがとても寂しく感じてしまう。  彼らは第二の家族のようで。  パチパチと小さく起きる拍手に少しだけ頭を下げた。  「主人は私の分まで働かせますので」  「嫌だよ、これ以上は」  「オラ、働けヨー」  「皆俺のために頑張って」  こんな風に彼らがふざける姿を見ているのが楽しかった。九条くんは「俺は関係ない」って顔してるのもそのうち巻き込まれるフラグだ。  何かあれば、いつも顔を突き合わせて話し合う彼らの仲間に入れてもらえた気がして嬉しかった。  「……私にご用がございましたら、主人に託けてください」  「一応戻ってくる予定なンだよナ?」  「そうね。その時は彼に主夫でもしてもらおうかしら」  雅なら喜んでしてくれそうだ。私は片手にマイクを持ち、片手でお腹を摩りながら隣に立つ彼を見上げる。予想通り、雅は「いいよ」と承諾してくれたが、それは九条くんが許さないらしい。  「それなら俺が先に主夫する」  「梓は家事できないじゃん」  「これからできるようになるからいい」  「ハイハイわかったっつーの。喧嘩すンな!」  香月くんの言葉に「「喧嘩してない」」と見事にハモったことでその場は笑いの渦に包まれてた。        
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