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「いおくんおおきくなったね!」
椿は怜空の隣で座り込んでいる伊織にしゃがみ込んで話しかけた。伊織も椿と環のことは認識している(どっちがどっちかはわかってないないと思う)
「あーっ」
「さなちゃんママ抱っこしていい?」
椿が綾乃に許可をとる。綾乃は「どうぞ」と笑顔で頷いた。環は怜空にお土産話をしている。
「お、っと、おもくな…った!」
椿は伊織を抱き抱えると少しよろつきながら抱き上げた。8歳からすれば1歳児と遊ぶなんて面倒くさそうに思うのに、椿も環も伊織とはよく遊んでくれる。
「パパ、いおくん大きくなったよ」
「そうか」
そんな報告をする息子に梓は目を眇めた。
玲ちゃんは未玖ちゃんと綾乃にお土産を渡している。
「高菜!大好きなの!嬉しい」
「りんごもある!怜空、りんごもらったよ。ありがとう言って」
怜空はパッと目を輝かせると未玖ちゃんの元に近づいた。ついでに環とちゅんも動く。
「ちゅんもりんご好きなのよね」
「そうなの?もうふたつぐらいいる?」
「いくらでもいただくわよ」
ちなみに率先して「欲しい」と言ったのは綾乃だ。きっと玲ちゃんのことだから「じゃあ木下さん家も」となるのはわかっている。だからか綾乃が声をあげたんだろうけど。
「ユーキチャンはいつまで経ってもユーキチャンダナ」
「ハァオカシー」とケラケラ凌が笑う。
「はい、パパ」
伊織を抱っこしていた椿は重くなってきたのか梓に渡した。下に置けばいいのに、と思っていても梓が抱きたそうにしていたのだろう。
「あーあっ」
「なんだよ」
梓がよいしょ、と伊織を抱く。伊織は伊織で梓のことを気に入っており、しきりに話しかけていた。むちむちの手が梓の頬を叩く。梓は苦笑しながら、その手から逃げながら伊織を抱いていた。
「あ、いおくん。梓に抱っこしてもらったの?」
玲ちゃんが車から追加でりんごを持ってきてくれたらしい。さらにふたつずつ追加されて大喜びの綾乃。伊織は梓の肩から顔を出して玲ちゃんに「にこー」と笑いかける。「いおくん、可愛い!天使!」と玲ちゃんをたらし込んでいた。
「伊織、あんまり玲ちゃんを誘惑すると梓に怒られるぞ」
「ソーダゾー。梓に怒られると面倒くさいゾ」
九条夫妻は今も充分仲がいい。
このあと、椿と環から玲ちゃんがゲレンデでナンパされていたことを暴露される。
おまけに「パパに『ママーって言ってこい』って言われた!」とナンパ撃退のためにふたりが遣われたことも。
そのことに凌と綾乃が腹を抱えて笑い、未玖ちゃんが呆れる。
そのタイミングで「なにわらってるのー」とピアノに飽きた沙菜と瑠莉と咲茉がリビングに集合した。
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