奥様の正体

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 愛人兼闇ボスだった轟会長にプロポーズされた時は驚いたものだ、おそらく幸子という人間を勘違いしていたのだろうが。 ヤバい前科持ちばかりのボロい社寮で暮らすのも、ましてや刑務所に戻るのも真っ平だったので、幸子は彼の指示に黙々と従って着実に仕事をこなした。 だから轟は彼女を信頼し、一見楚々とした儚げな美貌にも惹かれたのだろう。  幸薄い君を散々利用した分、目一杯幸せにしたいと求婚された日には鳥肌(サブイボ)が立った、結婚後も散々利用するんだからこんなに矛盾したジジイもいない。 と言って断れる立場でも無く、数十年前に死んだ前妻の後の後妻となり、ほぼ同世代の義理の息子が出来たのである。
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