第12話_双生の攻撃手

3/3
前へ
/69ページ
次へ
すぐさま晃司(サルファー)が[侵略者]と(ロードナイト)の間に入り、細剣の装具『閃光(センコウ)』の切っ先を向ける。 「てめぇ…舐めた真似してくれるじゃねぇか。うちの新人にどういう了見だ?」 「そもそもお前たち『セイバー』共は[異界のもの(俺たち)]にとって妨げになる存在だが、中でも『アズライト』は害悪でしかない」 「何言ってんだ? わかるように説明しろ!」 「…お前は『そいつ』と同類のくせして何の知識も無いのだな。加えて知能も極めて低そうだ」 「な…に!?」 「おい、落ちつけ低能」 [侵略者]の言い様に一瞬で憤激したサルファーへ向けて、ロードナイトは脳内から制する。 「!? おまっ…」 「『アズライト()』の能力は『索敵』だ。どうやら[異界のもの(奴ら)]の致命部位が見えるらしい」 「…!」 またしても怒りかけたサルファーだったが、目を見開いて止まり、蒼矢(アズライト)へ振り返った。 さきほどの不意な攻撃を受け、強張った面持ちで佇んでいる彼を見、固まっていたサルファーはやがてわずかに口の端を上げた。 「…はっ…、そいつはすげぇな」 「ああ。でも手放しには喜べなくなった…まさか[奴ら]の方が『彼』に関して造詣が深いとはな。そしてやはり、『索敵』は奴らにとって厄介らしい」 淡々と返すものの、ロードナイトの表情は硬い。その様子を見て軽く舌打ちすると、サルファーは[鉛鎖]へ向き直った。 「――で、その害悪(・・)をどうするって?」 「このまま野放しにしておく理由は無い、今回で確実に仕留める。…"搾取"はついでだ」 「相変わらずきめぇ台詞しか吐かねぇ奴らだな。細切れにして精錬屋に売り飛ばしてやるよ」 攻撃態勢に入るサルファーへ、ロードナイトが脳内から低く声を掛ける。 「俺が[侵略者(こいつ)]をやる、[異形]はお前に任せた。正直、周りにかまけている余裕はないからな…撃ち漏らすなよ」 「俺を誰だと思ってんだ? お前こそ大丈夫なんだろうな」 「この面子でこれ以上の最適解は無い。超速で片付けるぞ」 「…了解」 ロードナイトは、アズライトの周囲に再び防御壁を張った。 「覚醒して早々狙われるなんて想定してなかっただろうが、俺たちの能力や装具を奪おうとする輩はたまに出てくるから、無い話じゃない。手短に終えるには『君』の能力が不可欠だが…『索敵』は出来るな?」 「はい…!」 「前回同様壁は作るが、回避行動が取れるよう身構えていてくれ。…おそらく俺の防御属性は、[侵略者()]と相性が悪い」 冷静な中に一握りの緊張感をにじませる彼の口調に、アズライトは固唾を飲む。 「…はい!」 手のひらに呼び出した短剣の装具『水面(ミナモ)』を握り、大きく見開く両眼の前に構えた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加