シュガープラム

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「都市伝説のようなものなんですが、ピアスを開けると運命が変わるっていう記事を見つけちゃったんですよね」 「私が学生の頃あったわ。うん。変わるよ」 「……って、もしかして貴子さんは経験者なんですかっ?」  思わぬ経験者を見つけてしまった。  テーブルに両手をついて前のめりになりながら貴子さんを見た。と言っても視線が滑ったのは耳元で揺れるピアス。 「ちゃーんとピアスホールあるでしょ。ほら、見たい? 運命を変えたおかげでこの店を始めることができたし」  そう、ここは繁盛店ではない。  大通りからは全く見えない。住宅街の隅っこで細々と営業中。貴子さんとランチタイムのアルバイトの美樹さんでやりくりしている。  四つのカウンター席と二人掛けのテラス席が一つだけの小さな店。  なんと内装は貴子さんが一人で改修工事をしたというからその行動力にはびっくりだ。 「ホントですか!?」 「ほんとほんと。ピアスを開けた翌日にこの店を見つけたもん。もしかして葵ちゃんもピアス開けてみたいの?」 「やってみたいんですけど勇気がなくて……だいたいやり方も分かんないし、どうやって開ければいいんですか?」 「そんなの簡単だよ。専用の道具が売ってあってね。耳たぶにパチンとするだけ。そうねぇ、ぶっとい針を突き刺すイメージかな」 「――――!!」
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