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「中身はたんまり入ってるわよ。この中にある一等が当たったらすごくない? ほらほら強く願って。この量で一等が当たったら本物でしょ?」
自慢にもならないが、クジ運も中の中。これまで引き当てた最高商品は五等の怪しげなキャラクタータオルのみ。
一等なんて一度も引いたこともない。
(だまされたと思って……運試し!)
砂糖菓子の上品な甘さ。思い切って奥歯で金平糖をかみ砕き、飲み込んだ。
小さく息を吐いて、奇妙な緊張感に震える手を箱に突っ込む。
手触りで三角のクジがたくさん入っているのが分かる。
しつこいぐらいぐるぐるとかき回して、一枚を選び出した。
「それでいいの? 後悔しない?」
意地悪な問いに、口元を引き締めてうなづく。
開けて、と促されて開いた――。
「え? ウソ。当たっちゃった」
「ほら。すごいね。こんなにたくさん入ってるのに一等を当てちゃうなんて強運じゃん!」
「でも、こんなすごいモノ、もらっちゃっていいんですか?」
「いいって。私は今の現状に満足してるから、欲張っちゃダメだもん」
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